統合報告書/アニュアルレポートで使われているフォントを調べてランキングを作った
みなさんこんにちは、ヒラギノフォント公式note編集部の正木です。
フォントを調べてランキングを作る企画、第二弾となります。
第一弾のYouTube編はこちらからご覧ください。
今回は、企業の統合報告書/アニュアルレポートについて調べました。
「アニュアルレポート」は年次で財務情報を投資家に伝えるための資料ですが、近年ESG(環境・社会・企業統治)情報などの非財務情報を含む企業価値情報の発信が求められており、「統合報告書」として公開されることが主流となってきているようです。なお、今回は統合報告書/アニュアルレポートを厳密に分けず取り扱いますが、ここからは「統合報告書」とまとめて記載します。
統合報告書はまさに、外部のステークホルダーに伝えたいメッセージが詰まっている資料と言えるでしょう。そのような媒体で、メッセージを載せるフォントとして何が選ばれているのか、早速見ていきましょう!
調査方法について(ランキング閲覧前に必ずお読みください)
今回も人力での調査のため、あくまで当社調べとして参考程度にご覧いただけたら幸いです。
総合ランキング:1〜13位まで
本文と見出しで使われていた数を合算したものが「総合」の数値となります。各フォントが使われていた統合報告書と併せてご紹介します。
1位 UD新ゴ(本文126pt+見出し117pt=総合243pt)
2位 ヒラギノUD角ゴ(本文85pt+見出し66pt=総合151pt)
3位 UD新ゴNT(本文48pt+見出し42pt=総合 90pt)
4位 ヒラギノ角ゴ(本文34pt+見出し36pt=総合70pt)
5位 ヒラギノUD角ゴF(本文27pt+見出し27pt=総合54pt)
6位 源ノ角ゴシック(本文25pt+見出し26pt=総合51pt)
7位 ゴシックMB101(本文16pt+見出し30pt=総合46pt)
8位 游ゴシック(本文21pt+見出し19pt=総合40pt)
9位 こぶりなゴシック(本文11pt+見出し6pt=総合17pt)
同率9位 新ゴ(本文9pt+見出し8pt=総合17pt)
11位 TBUDゴシック(本文9pt+見出し7pt=総合16pt)
12位 AXIS Font(本文7pt+見出し7pt=総合14pt)
13位 見出ゴMB31(本文0pt+見出し10pt=総合10pt)
同率13位 メイリオ(本文5pt+見出し5pt=総合10pt)
同率13位 筑紫ゴシック(本文5pt+見出し5pt=総合10pt)
同率13位 小塚ゴシック(本文5pt+見出し5pt=総合10pt)
14位以降含む全ランキングはこちら
業種別ランキング
社数が10社以上の業種のみです。
製造業(250社)
社数が圧倒的に多いのは製造業でした。上位の傾向は全体のランキングと近いですね。
金融業・保険業(55社)
UD新ゴ/新ゴが1、2位にランクインしています。信頼感を大事にしたいという思いを感じます。
卸売業・小売業(39社)
ヒラギノUD角ゴが1位に!書体のすっきりとした骨格、やわらかなエレメントがスマートな流通サービスを想起させますね。
情報通信業(36社)
総合6位の源ノ角ゴシックが2位となりました。勝手な印象ですが情報・通信業(IT業界)はオープンソースフォントの利用が進んでいるイメージがあるので納得感があります。
建設業(28社)
金融業・保険業と近い傾向が見られます。
運輸業,郵便業(19社)
学術研究,専門・技術サービス業(12社)
数は少ないですが、6位に数少ない明朝体の游明朝がランクイン。明朝体を使うことで、専門性の高さや歴史を感じさせる表現となっていました。
不動産業,物品賃貸業(12社)
おわりに
今回は、前回のYouTube調査より楽だろうと思い着手しました。書体の種類はある程度絞られるので判別はそこまで時間がかからないのですが、それぞれの統合報告書の見せ方や工夫が面白く、結局時間がかかっています…。
記事の都合上、例として掲載させていただいた統合報告書は一部のキャプチャという形になってしまいましたが、ぜひ出典元の統合報告書や、気になる会社の統合報告書も見てみてると面白いかと思います。
それぞれの企業がどのような印象を与えたいのかという観点から統合報告書を読むときっと新しい発見ができますよ!