Std、Pro、Pr6、Nってなに?意味を知って賢くフォントを選ぶ!フォント名による違いと使い分け徹底解説
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Std、Pro、Pr6、Nってなに?意味を知って賢くフォントを選ぶ!フォント名による違いと使い分け徹底解説

ヒラギノフォント公式note

みなさんはフォントを選ぶときにこんな経験をしたことはありませんか?

「同じフォント名なのに、Std・Pro・ProN・Pr6Nなどの文字が付いている…これってなにが違うの?どんな意味があるの?どれを選べばいいの?」

じつはこのStdやProNなどは、フォントに含まれている文字の量や種類を表しているんです。

この違いを知ることで、「いざという時に文字が出なくて困った」、「フォントを変えたら文字が変わってしまって怒られた」などの「文字の事故」を防いだり、フォントを購入するときに適切なフォントを選べるようになります。

この記事では、3つのポイントに分けて解説します。

  1. Std・Pro・Pr6の意味と「文字セット」

  2. Nの付くフォントと付かないフォントの違い

  3. どれを選べばいい?フォントの使い分け

改めてフォントの名前について知っておきたいデザイナーの方にも、これからフォントを購入しようと考えている方にも、どちらにも役に立つ情報なので、ぜひ最後までご覧ください。

1. Std・Pro・Pr6の意味と「文字セット」

フォント名に付いているStd、Pro、Pr6は、フォントに入っている文字のひと揃い=「文字セット」を表しています。

「文字セット」とは、特定の基準や目的に基づいて文字を集め、定義した文字の集合を指します。

フォントが違っても同じ番号に同じ文字が入っている「文字セット」を共通化することで、フォントを変えても同じ文字が表示できるのです。

多くの日本語フォントは1992年に制定された「Adobe-Japan1」というグリフセット(規格)に準拠しています。

当時、文字セットの整備は主に印刷物を作る用途で行われ、日本語フォントメーカーは、主にDTP(印刷物をコンピュータ上で作ること)で使うことを想定した日本語フォントの開発を行いました。

Adobe社は「Adobe-Japan1」に基づいてフォントやアプリケーションを開発し、ヒラギノフォントをはじめとする日本語フォントメーカーは「Adobe-Japan1」に基づいてフォントを作ることで、フォントメーカーの垣根を越えて同じ文字を表示できるフォントが増えていったのです。

Adobe-Japan1は2021年現在、Adobe-Japan1-0からAdobe-Japan1-7まで8種類あり、時代背景やJIS規格に合わせて四半世紀以上の年月をかけて文字を増やし続けてきました。

そして、Std、Pro、Pr6は、このAdobe-Japan1のどれに対応しているかを表しているのです。

Adobe-Japan1のグリフセットの特徴として、末尾の番号が多いほど含まれる文字の種類が増えるという特徴があります。

つまり、Adobe-Japan1-7はAdobe-Japan1-5やAdobe-Japan1-3に含まれる文字はすべて含んでいる、ということになります。

そのため、文字の種類の多さはPr6が一番多く、Pro、Stdの順に少なくなります。

ヒラギノフォントをはじめとする日本語フォントメーカーは、年々変わる環境やユーザーのニーズを聞きながら、フォントに必要な文字を増やしたりわかりやすい名前を付けたりしてフォントをメンテナンスしてきたのです。

2. Nの付くフォントと付かないフォントの違い

次にPr6NやProNなどの「N」にどんな意味があるか、そしてNあり・なしにどんな違いがあるかを解説します。

このNは「漢字の字形が2004年に改定されたJIS規格に対応している」ことを表しています。具体的にはNありとNなしのフォントでは、168文字の漢字の字形に違いがあります。
JIS2004字形で変わった漢字の例を比べてみましょう。

JIS側が2004年に改訂されたことによって、Adobe-Japan1や日本語フォントメーカーはこのJISの字形変更に対応したフォントを開発する必要が出てきました。

そのとき、JIS2004字形に差し替えたフォントを同じ名前で提供してしまうと、過去の原稿・データで表示されていた漢字字形が、気づかないうちに違う形に変わってしまう可能性があります。

そこで、フォントメーカーはAdobe-Japan1の規格にならったフォントの名前に「N」を加えることによって、Nあり・なしを別のフォントとして使い分けができるようにしたのです。

macOSやWindowsも、今ではこの2004年に改訂されたJISの字形=JIS2004字形に対応したフォントが標準として使われています。

もちろんヒラギノフォントもOSベンダーに足並みを揃えて、JIS2004字形にいち早く対応しました。

3. どれを選べばいい?フォントの使い分け

最後に文字セット(Std、Pro、Pr6)とNあり・なしについて、選び方・使い分けを理由を交えて解説します。

文字セットの選び方

Stdには「常用漢字」や「人名用漢字」などのJIS第1水準や、第2水準の漢字が含まれています。

そのためStdの文字セットがあれば、多くの人名や地名表記に必要な漢字をカバーしていることになります。

さらに、縦書きに必要な記号類を含む文字も含まれていますから、おおよその日本語表示にはこのStdフォントで対応することができるでしょう。

また、Stdはデザイン系フォントや筆書系フォントなど「幅広いフォントラインナップ」が特徴のひとつです。

そのため、装丁や見出し、フライヤー、バナーやサムネイルなど、個性的なデザインのフォントを選ぶ場面でも、Stdフォントが活躍します。

Proは、Stdに含まれるすべての文字に加えて「商業印刷に求められる文字」を含めることを目的に、文字の種類が増やされました。

例えば○や■で囲まれた仮名や数字、1文字で「ヘクトパスカル」や「学校法人」を表せる合字、様々なバリエーションの分数、横書きや縦書き専用の仮名、ルビ用の仮名のほか、旧字体をはじめとする異体字などが含まれます。

また、ヒラギノフォントのProは「Adobe-Japan1-5」に対応しているため、JIS第3水準やJIS第4水準の漢字を網羅し、「JIS X 0213:2000」にも対応しています。

Proはその名の通りプロフェッショナル向けの文字を揃えているので、書籍の本文組版など出版・商業印刷の分野で威力を発揮します。

Pr6は一番大きい文字セットとして、Proに含まれるすべての文字に加えて「JIS X 0213:2004」や「JIS X 0212-1990」というJIS規格に完全対応しています。また、共同通信社の固有文字集合「U-PRESS」に対応するグリフも追加されています。

そのため、人名や地名を正確に表示する必要がある新聞や学術書籍、ソフトウェア等において、足りない漢字・出ない文字をできる限り減らして、正しく表示することに貢献します。

Nあり・なしの選び方

Nあり・なしの選び方は、例えばNなしフォントで既に作成したデザインデータのフォントを編集する場合、同じ「Nなし」フォントから選ぶことで文字のトラブルを減らすことができます。

一方で新たにデータを作り始める場合は、現在広く使われているOSが標準的に表示している字形と同じ「Nあり」フォントを選ぶと良いでしょう。

案件によっては、例えば「辻」は1点辻(JIS90字形)でなければいけない、といったように特定の字形の表示が求められることもあるかと思います。その場合は要請に応じてNあり・なしを選ぶ必要があります。

また、IllustratorやInDesignなど、フォントに含まれる異体字を切り替えられるアプリケーションであれば、「Nあり」フォントを選択しておき、必要に応じて「Nなし」フォントが標準で表示する字形(JIS90字形)に切り替えて制作できることも覚えておくと良いでしょう。

ヒラギノフォントの対応文字セット

ヒラギノフォントの対応文字セット/Nあり・なしは各製品ページをご確認ください。

まとめ

フォント名に付いているStd・Pro・Pr6はフォントに含まれる文字の量を、Nあり・なしは表示される漢字字形に一部違いがあることを、理由や背景を交えて解説してきました。

多くの場合はStdの文字セットで網羅でき、本文組版や人名・地名で必要な漢字や記号を網羅したい場合はProやPr6を選ぶ、という選び方についても解説してきました。

この記事で押さえておきたいポイントは、フォントを変更するときは「Std同士」や「Pr6同士」でフォントを切り替えることで「出ない文字」の発生を防げること、「Nあり同士」「Nなし同士」で切り替えることで漢字字形が変わるトラブルを防げる、ということです。

フォントをよく知ることで、「文字の事故」を防いでデザインの幅を広げることができます。この記事を参考にフォント選びを楽しんでみてください。

ヒラギノフォントでは、フォント選びのご相談にいつでもお応えしますので、下記のフォームから無料でお気軽にお問い合わせください。

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